「採用が決まった時の成功報酬は、どの勘定科目?」「応募課金/クリック課金は広告費でOK?」「返金規定がある時の処理は?」――人事と経理の“境目”で迷いがちなポイントを、仕訳テンプレと請求書チェックリストに落として整理します。最後にダウンロードできる仕訳テンプレ(Excel)CTAも設置しています。
結論サマリー(先に知りたい人向け)
- 成功報酬(採用決定時課金):科目は多くの企業で支払手数料 or 採用費/採用関連費(社内ポリシーで統一)。税区分は通常課税仕入10%(国内業者)。
- 応募課金・クリック課金:科目は広告宣伝費 or 求人広告費。税区分は課税仕入10%(国内)。
- 返金規定あり:入社早期離職等で返金→減額仕訳(戻し入れ)または雑収入計上のいずれか(社内基準で統一)。
- 検収日はいつ?:役務提供の完了日=請求根拠日(例:入社日/内定承諾日)。締め日・検収日を契約書で確認。
- 海外事業者(越境デジタル等):仕入税額控除の可否やリバースチャージの要否を経理規程に沿って判定。
勘定科目の基本方針
- 成功報酬(紹介/ダイレクトの採用課金):支払手数料/採用費(雑費内の内訳)のいずれかで社内統一。
- 応募課金・クリック課金(媒体費):広告宣伝費(“求人広告費”の補助科目を推奨)。
- 付随費用(原稿制作/撮影/運用代行):広告宣伝費または外注費に寄せて統一。
大切なのは一貫性(ポリシー)。監査/税務対応の観点で、同種取引を同一科目に揃えます。
仕訳テンプレ|紹介会社の「成功報酬」
ケースA:請求書受領ベース(発生主義)
(請求書受領時)
借方:支払手数料 1,100,000
借方:仮払消費税 100,000
貸方:未払金 1,200,000
※本体1,100,000+消費税100,000(計1,200,000)
ケースB:支払時(現金主義で簡便処理)
(振込時)
借方:支払手数料 1,100,000
借方:仮払消費税 100,000
貸方:普通預金 1,200,000
返金発生(早期離職など返金規定に基づく)
(返金受領時)
借方:普通預金 600,000
貸方:支払手数料 545,455
貸方:仮払消費税 54,545
※返金60万円(税抜545,455+消費税54,545)で戻し入れ
(社内方針で「雑収入」処理にする場合は統一運用)
仕訳テンプレ|応募課金・クリック課金(媒体費)
応募課金(CPO)
(請求書受領時)
借方:広告宣伝費 300,000
借方:仮払消費税 30,000
貸方:未払金 330,000
クリック課金(CPC)
(自動引落/クレカ締め)
借方:広告宣伝費 150,000
借方:仮払消費税 15,000
貸方:未払金 165,000
(支払時)
借方:未払金 165,000
貸方:普通預金 165,000
税区分とインボイスの注意
- 国内事業者→国内向け求人サービス:原則課税仕入10%、適格請求書(登録番号)で仕入税額控除。
- 海外プラットフォーム(B2B電子役務):リバースチャージ方式の要否を規程で判定。インボイス番号がないため仕入税額控除の扱いに注意。
- 成功報酬の返金:税込/税抜どちらで精算するかは契約書で確認(返金計上は税区分連動で処理)。
締め日・検収日の決め方
- 成功報酬:契約で定義された役務完了日(例:入社日 or 内定承諾日)を検収日とし、当月計上。
- 応募/クリック:媒体の月次締めに準拠。利用期間と請求期間のズレを月次で突合。
請求書チェックリスト(社内承認用)
- 契約先名・登録番号(インボイス)
- 請求根拠(候補者名/求人ID/入社日・応募件数/クリック期間)
- 税区分・税率・消費税額(税込/税抜表記の整合)
- 返金規定(対象期間・計算式・返金時の税処理)
- 締め日・支払日(現場の検収日と一致)
- 見積・注文書・契約書の紐づけ(証憑一式)
NGになりやすい運用と回避策
- 成功報酬と広告費が混在(→科目ポリシーを明文化し、補助科目で切り分け)。
- 返金時に税区分を誤る(→返金も課税/不課税を元取引に合わせて処理)。
- 海外サービスの課税関係を未判定(→経理規程にリバースチャージ判定フローを追加)。
ダウンロード:仕訳テンプレ(Excel)
ケース別(成功報酬/応募課金/クリック課金/返金)の入力欄付き仕訳テンプレを配布しています。自社の科目名に合わせて編集してお使いください。仕訳テンプレを受け取る
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